あるお掃除屋のつぶやき

四国のお掃除屋を営む経営者が日々の気になるニュースやお役立ち情報などをつぶやきます。

鴻海(ホンハイ)精密工業の買収でシャープは復活するのか

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前回の記事では、鴻海(ホンハイ)精密工業の企業としての規模の大きさや経営者の人柄などを書いてきましたが、今回の買収でシャープは復活するのかという個人的な見解を述べさせていただきます

前回の記事 www.c01.jp

結論から言うと、僕は難しいと思います

ただ前提として、いわゆる日本企業としてのシャープというのが入ります。

僕が難しいと思う理由は

外資で本当に単純作業労働者の雇用が守られるのか

という点につきます。

郭台銘会長は、「40歳以下の雇用は守る」と語ったそうですが、では40歳以上の方はどうなるのか。

黒字化を目指すうえで、固定費のスリム化を図るのか、売上の拡大を図るのか。固定費のスリム化のためには、収益の上がらない事業から撤退するのではないか。その場合の労働者はどうなるのか。

単純作業労働者の雇用が守られるのか

液晶のシャープというブランドは、世界的にも知られているブランドイメージとともに高い技術力を有しています。

電子機器の受託生産を行っている鴻海(ホンハイ)精密工業にとって、買収金額は多額ですがそれを補って余りあるだけのブランドと技術力を獲得することができます。

これに対して、シャープの屋台骨を支えている従業員さんはどうかというと・・・

むしろこれが再建を阻むと思っています。

もちろん、技術者や日本国内における営業職・マーケティング部門などは残るでしょう。ただ、単純な作業に従事する労働者となるとどうでしょうか。

労働者が守られすぎている日本

誤解を恐れず言わせていただくと、日本の単純作業に従事する労働者を守る法律(労働基準法等)は、企業からみると厳しすぎます

また、最低賃金は年々上昇しており、昨年12月に51人以上の事業場に対し労働者のストレスチェックも義務化となりました

社会保険料に関しても増額しているのに加え、今年(2015年)の秋には加入者の拡大が行われます。(こちらは労働者にとっても手取りが減るので面白くない話です)

このように、1人の労働者を雇うのに企業が払うコストはとても多い。そのうえ、大企業を中心に解雇が難しい現状では、経営者から見ると労働者が不当に守られていると思われても仕方がないです。

経営不振となり、非正規雇用の人員整理を行うだけでも、かなりのバッシングを受けます。逆に言うと、この手厚すぎる労働者保護の法律によって、経営不振となっても人員整理への判断が鈍り、益々業績が悪くなるという悪循環になっています。

おっと、これらはお掃除屋の経営者としての愚痴も入ってますね(^^;)

日本は「良きリーダー=人徳者」を好む

ただ、これらは従業員さんを無機質な経営資源としてとらえ合理的に考えた場合のこと。もともと日本人は、ドライで合理的な考えは苦手で、もっとウェットでアットホームな感じが好まれます。(だからこそ合理的でない上司もいますが)

パナソニック創業者の松下幸之助氏のように、どんなに不況に陥っても雇用を守る!っという考え方に、現状はどうあれ賛同する経営者は多いはずです。

これらは西洋合理主義的な考え方ではありません。

つまり、リーダーは、変革者や結果を出す人というよりも、みんなをまとめる人徳者というイメージが日本では強いのではないかと思います。

だからこそ、不合理であろうとも人徳者であるリーダーについていくという忠義の精神も生まれてきたのではないかと思っています。

辣腕を振るう経営者がどうタクトを振るか

と、長くなりましたが、まとめると

一代で鴻海(ホンハイ)精密工業を大企業にまで育てた辣腕経営者の郭台銘会長が、日本の文化や労働環境を理解したうえで、どのような再建案を立てるのか。

その障壁が、僕には大きいと思うので、鴻海(ホンハイ)精密工業の買収でシャープは復活するのは難しいという見方を持っています。

ただ、トヨタから技術者を招いたり、日本の中小企業の視察を行っている郭台銘会長です。僕には思いつかないような戦略をすでに練っているのかもしれません。

3年で収益を黒字化すると語った郭台銘会長。その手腕に注目です。

追伸 買収の正式契約の締結が延期されたので、契約された場合のお話です(^^;)