あるお掃除屋のつぶやき

四国のお掃除屋を営む経営者が日々の気になるニュースやお役立ち情報などをつぶやきます。

闇営業の吉本芸人13人に謹慎処分は生ぬるい?みんな他人事だとすぐ解雇って言うよね。

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反社会的勢力に対して吉本興業を通さない、いわゆる闇営業をしたということで雨上がり決死隊の宮迫博之さんやロンドンブーツ1号2号の田村亮さんなど計13名が謹慎処分となりました。

僕も関与したメンバーに対して同情する余地はありませんし、虚偽の報告をしていたことに対しては腹立たしささえ覚えます。

でも、今回の事件で明らかに間違いの情報をマスコミが流したり、ヤフコメで飛び交っていたりします。

それが、「解雇」についてです。

会社は簡単には従業員さんを懲戒解雇できない

簡単に「解雇だ!」っていう人の大きな誤解は、「会社は従業員が悪いことしたらすぐに解雇できる」ということです。

 

違う。ぜんぜん違う。

会社は簡単には従業員を解雇させられないんです。

 

通常、会社に雇われるサラリーマンというのは「会社と雇用契約を結んだ人」のことをいいます。これは、短時間だろうがフルタイムだろうが、雇用契約を結んだ人はすべて会社と雇用関係になります。

この雇用契約を結んだら最後、従業員は労働基準法によって手厚く守られるんですね。

本筋からはずれるので、法律によって従業員がどれだけ手厚く守られるかの説明は省きます。ここでは、会社は従業員を簡単に解雇できないとだけ覚えて下さい。

色んなコメントで「一般の会社であればクビ!」っという言葉がカンタンに出てきますが、刑事事件としての判決も出ていない中で一方的に解雇することは一般の会社でも無理です。解雇したとしても、労働者側が労働基準監督署に駆け込んだら、会社の方が負けます。

法的に解雇できないというのはおいといて、感情的に「解雇だ!」って言いたくなる理由って何なのでしょうか。

なぜ、有名人が悪いことをすれば解雇にしたがるのか

他人事なのに、解雇って声高に叫ぶ理由はなんなのでしょうか。

不況時に、大企業が業績不振のために整理解雇を行うというニュースを見ることがあります。派遣切りなども取り上げられますね。

だから、弱者は簡単に解雇させられるっていう思いがあるんでしょう。

なので、不祥事を起こした芸能人を解雇させたいのは「弱者は悪いことをしていないのに簡単に解雇されたり契約解除されるのに、強者は金になるから解雇されないのはおかしい!」って論理じゃないかなって思います。

 

悪いことしたなら、社会的制裁を受けるべきだ!

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なのに謹慎っていう処分は甘いんじゃないの?

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それって吉本興業が儲けるために復帰させたいからなんじゃないの?

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大企業だから許されるのか?それはおかしい。解雇だ!

 

もちろん、「解雇」って言っている人でも、この理屈で言っているんじゃないって人もいるでしょう。反社会的勢力が得をすることに対する憤りが強い人もいるでしょう。

ただ、その感情論をおいといても、彼らを解雇するというのは間違いなんです。

島田紳助さんも懲戒解雇ではない

今回の件でよく比較されるのは、同じ吉本興業の人気タレントだった島田紳助さんです。

そんな島田紳助さんも、反社会的勢力(山口組等)との黒い交際が取り沙汰されたとき、芸能界を追われました。

僕も、四国を代表する企業であるボイラーで有名な三浦工業。その三浦ボイラーのCMで、起用されていたタレントが島田紳助さんだったこともあって、ショックだったのを覚えています。 

でもこのときも吉本興業から懲戒解雇を受けたわけではなく、あくまで本人主導の引退となってます。

それもそのはず、吉本興業は芸人さんと雇用契約を結んでいないからです。

芸人は雇用契約ではなく委任契約

まずは、芸能人やスポーツ選手の税務サービスを取り扱っている汐留パートナーズ税理士法人のコラムからの引用をごらん下さい。

しかしながら、一般的には吉本興業所属の芸人は皆様は吉本興業自体とは雇用契約をしておらず、吉本興業の従業員はマネージャーや管理部門のスタッフなどの職員のみになります。所属芸人と吉本興業の関係は、実態としては「雇用契約」ではなく自身のマネジメントを芸能プロダクションに委任する「委任契約」であるため、個人事業主である芸人は吉本興業から事業収入(報酬)を受け取っていると解釈されます。業界では、「専属マネジメント契約書」、「専属タレント契約書」、「マネジメント契約書」、「タレント契約書」など様々な名称による契約があるようですが、それらはほぼ委任契約であると解釈できます。

出典:汐留パートナーズ税理士法人:芸能人の確定申告【詳細解説】より抜粋

このように、吉本興業所属の多くの芸人は、雇用契約ではなく委任契約というカタチで繋がっています。つまり所属芸人はみんなサラリーマン(従業員)ではなく、個人事業主ということですね。

しかも、芸人から吉本興業に自分のプロモーションやマネジメントを委任しているという構図です。だから、吉本興業にとって、ある意味、芸人さんはお客さんであるとも言えます。

だから、委任契約の契約解除といっても、従業員ではないのでそもそも解雇とはいわないんです。

まぁ、考えてみれば当たり前のことですよね。

なぜ、マスコミが解雇という言葉を使うのか

ヤフコメあたりで一般の人が「解雇」という言葉を使うのは分かります。単純に知らないだけでしょう。

でもなぜ、雑誌やTVなどで解雇という言葉が使われるのでしょうか。マスコミはおそらく解雇という言葉が適切ではないことを知っているはずです。なのにわざと「解雇」という言葉を使っている節があります。

その理由は、

わかりやすさ、イメージのしやすさで読者・視聴者の興味を引くため。

読者・視聴者を感情的にして、関連する記事や番組で数字をとるため。

などが考えられます。

分かりやすく伝えるために、あえて間違った表現をするっていう考え方は分からないわけではありません。でも、明らかに違う情報を流し、世間の風評を操作するのはいかがなものかなって思います。

まとめ

今回は、40億円という巨大詐欺グループでの忘年会ということでかなりセンセーショナルな事件となりました。初動も悪く、金銭を受け取っていないなどの虚偽の報告も世間の心証を悪くしました。

でも、当事者以外の人が解雇を声だかにいうのはやり過ぎだと思います。

もし、契約解除になったら、彼らは世の中に対して価値を生まなくなります。芸人としての道を諦めたとしても、他の就職先を探すのも苦労するでしょう。

弱者を解雇するなら企業が悪く、有名人のような強者は職がなくなっても構わないっていうのは不公平ですし、優しくない社会だと思います。逆に言うと、それだけみんな社会に対して不平不満が溜まっているんだなって感じます。

確かに、彼らは不祥事を起こしました。だからこそ、彼らがこれからどうするかを厳しくも温かい目で見守るべきではないかと思います。