野球賭博の制裁として、読売巨人軍(ジャイアンツ)に無観客試合をしろ!ってなコメントがネットに流れています。この議論はなぜ取り上げられているのでしょうか。
通常、ホームゲームの入場料収入は主催球団と一部NPB(日本野球機構)に入ります。他球団に迷惑をかけた制裁として、無観客試合を行えば、巨人側に入場料収入が入らず、球団側は困ります。
また、文字どおり鳴り物入りで応援してくれるファンがいない中での試合は、選手のみならず、球団関係者に与えるインパクトが大きいでしょう。
でも、本当に無観客試合に意義があるのでしょうか。今回は、野球賭博の制裁として、巨人が無観客試合を行う意義について考えてみます。
浦和レッズの無観客試合
巨人の無観客試合が議論される発端として、Jリーグの浦和レッズが2014年3月に無観客試合を行ったことが挙げられます。
簡単に言うと・・・
2014年3月8日に行われた浦和レッズ対サガン鳥栖戦で、サポーターが「JAPANESE ONLY(日本人以外お断り/日本人に限る/日本人専用)」と書かれた横断幕を掲示し、浦和レッズ側からの撤去の要請を受けても撤去しなかった事件がありました。
それを受けて、3月23日開催の浦和レッズ対清水エスパルス戦でJリーグ史上初めての無観客試合が行われました。
浦和レッズサポーターはサッカーファンの中でも過激なことで知られていて、これまでもたびたび問題行動があったそうです。その中でも、とりわけ人種差別はFIFA(国際サッカー連盟)でも2013年に「反人種差別・差別に関する戦い」を決議しており、その翌年ということもあって目立ったというわけです。
浦和レッズ側も、無観客という異様な状況下でサッカーをすることで、責任の重さを実感したと報道されています。効果は十分あったといえるでしょう。
野球賭博の制裁に無観客試合は妥当か?
とはいえ、今回の野球賭博の制裁として巨人が無観客試合をすることが妥当かといえば、僕個人の意見としては、賛成する部分もあり、反対する部分もあります。
賛成する部分としては、
- 事件の重大さを選手や球団が実感するから再発防止に本気で取り組むきっかけとなる。
- 実現すれば球界初なので後世にまで記録として残る。
反対する部分としては、
- 全く落ち度のない巨人ファンや相手ファンが一番被害を受ける。
- 制裁金をNPB他に払うならみんなの利益となるが、無観客試合で入るはずだった利益はだれにも得になることがない。
両方を比べると、個人的には無観客試合にやや反対の意見ですね。
ファンが不利益にならないように
浦和レッズの人種差別横断幕掲示の件は、クラブ側の落ち度よりもサポーターの落ち度が大きいです。それに対して、野球賭博に関しては、巨人ファンに全く落ち度がありません。
無観客試合を行うことで、なぜ落ち度のないファンが不利益を被らなければならないのでしょう。
僕は広島カープファンですが、例えば無観客試合となった巨人戦で広島の投手がノーヒットノーランをしたり、打者が全打席ホームランを打ったりすることもあり得るわけです。
プロ野球は「ファンに期待感を売る」ビジネスです。
野球賭博の制裁も、ファンに不利益とならないよう、また、今後のプロ野球全体の意識の向上につながるような、そんな落としどころを望みます。