今回は、なぜ待機児童対策が進まないのかという問いに対して、預ける側の問題について考えてみます。前回の記事の続きとなりますので、まずは前回の記事からご覧ください。
前回の記事では、国会で法律を定めても、待機児童対策として保育園を実際に管轄する地方自治体が動くまでに時間がかかるというお話をしました。詳しい内容は前回の記事をご覧ください。
今回は、そもそも子供を預ける私たちの方も問題があるのではないかと思い、考えをまとめてみました。
子供を預ける側の問題
問題があるといっても、モンスターペアレントのような問題ではありません。
もちろん、モンスターペアレントの問題も十分にあるでしょう。子どもが風邪をひいただけで保育園のせいにしたり、自分のしつけができていないのを棚に上げて保育園での教育に茶々を入れたり。それが多少の抗議くらいであればいいかもしれませんが、保育士が辞めてしまうほど激烈な抗議をする方もいます。
けれど、それは大きな問題の一つとはいえ、子どもを預ける方全体の問題ではありません。
ここでは、もっと社会的な個人を取り巻く環境についてを考えてみました。
一般の人は政治に興味がない
選挙の投票率の低下問題が示しているように、一般の人、とりわけ40歳未満の若い層に投票率の低下がみられます。
僕は投票率の低下について、「若者はダメだ!」というつもりはありません。「もったいないな~」って思うだけです。(僕も30代なので他人ごとではありませんが(_; )
ただでさえ、投票率が低いのに、少子化で若年層の人数は減ってきています。これだと選挙に立候補する人は、政治家の講演や集会に参加し、実際に選挙に行く人数の多い高齢者をターゲットに政策を考えます。高齢者だけに有利なの政策だけでは逆に高齢者の支持はもらえませんが、高齢者から理解されにくい政策は外されやすくなります。
例えば・・・
ニートやネットカフェ難民などに代表される若年層の貧困問題も、高齢者からすれば、「だらしない若者の自己責任だ」っと言われたら、政策としては後回しにされるでしょう。
それと同様に、保育園を必要とする年代は20代後半から30代が多いです。
高齢者は、インフラも整っておらず今よりもさらに厳しい環境下で子育てをしていた方も大勢いらっしゃいます。特に男性は子育てに参画していない人も多いため、保育園の必要性が実感できないのではないでしょうか。
そこで、「保育園は社会全体ではなく0~3歳児の親にしか関係ないじゃないか」っと言われても、反論する立場に立った政治家は、なかなか票が取れない。そうなると、政策としては後回しになるっていう感じです。
専業主婦の減少の問題
保育園は、1971年から1974年までの第2次ベビーブームの時代にはそんなに必要ではありませんでした。
逆に言えば、もし必要であったならば、少子化が叫ばれていて子供の数が減っている現代において、保育園が足りないという問題は起こらなかったはずです。
第2次ベビーブーム時代に保育園がそこまで必要とされていなかった理由は、自分や配偶者の家族と同居していた、もしくは専業主婦がいたからではないかと推測しています。
男女共同参画の問題や大企業は一定数の管理職を女性にする方向性があるなど、女性の社会進出が顕著です。
それなりのポストを用意されるのであれば、育児休暇が明けたらすぐに会社に復帰ということもあるでしょう。そうなると、乳飲み子以上幼稚園未満の子供の預けるところが必要になります。すると保育園の需要が増えます。
今の待機児童の問題は、需要自体が拡大したため、供給が追い付いていないのが現状でしょう。
結局、お金がない
子供を誰かに預けるにはお金がかかります。
ところが、そんなにお金に余裕がないという方は多いでしょう。仮に裕福な家庭でお金があっても、少しでも安く抑えたいと考えるのは道理です。
その場合、自治体の認定保育園が最も安い選択肢の一つとなります。
なので、認定保育園の需要が高くなるのは当然です。
もし、お金のことを考えないのであれば、ベビーシッターを雇うこともできます。毎回、一時預かりができる私立の保育園でも大丈夫なはずです。同志を何人かを募って、共同出資の私立の保育園を立ち上げることもできなくはありません。
けれど、お金がない、もしくはお金があっても安く済ませたいと考えるから、競争率の高い認定保育園の申し込みに行き、ダメだったら待機児童となってしまうという具合です。
地域にもよりますが、おそらく子供一人に月額15~20万円くらい払えるのであれば、すぐにでも私立の保育園が乱立することでしょう。(実際に1人あたりの子供にそれくらい費用がかかるそうです。つまり保育料との差し引き分は補助金から賄われています)
ただ、子供一人に月額15~20万円といえば、月額50万円以上の手取りをもらっていても厳しい金額です。2人以上いるとなればなおのことでしょう。
これだと、家計を助けるためにパートにでても、稼いだ金額よりも子どもの保育園代を払わなければならない。。。なんてことになります。
預ける側もお金がないので、補助金をもらって運営している保育園の数を増やすしかない。でも、国も地方自治体もお金がない。
結局のところ、お金がないのが待機児童問題の対策につながらないところなのでしょうね。